黄土色
A道化



雨が降ってばかりの午後の終わりになって
雨が止んでばかりであること、感づいた
数億粒の喪失、愕然として足を止めた
ずぶ濡れのアスファルト踏みしめるゴムタイヤ
が群れ行き
音、が愛撫を装いながら実は回転して


用心深く、何も追いかけない方向を探りながら
用水路の鉄の蓋からの氾濫へ歩みを進めた
流され終えた落ち葉踏みしめる靴底
が葉を絞り
音、は響かない黄土色を帯び


雨がいつも透明だなんて思わないことで
黄土色にも対処できる感覚器官、の
足元
アスファルトに薄く延びた雨、を
踏みしめるゴムタイヤの群れ
雨に厚くふやけた落ち葉、を
踏みしめる靴底
雨がいつも透明だなんて思わないことで
嗚呼、黄土色にも対処できる感覚器官、の
足元


まさにその足元で、まさか
誰かが崩れかけている筈などない
そんな筈などない感覚器官、の
黄土色、の
足元




2003.12.2.


自由詩 黄土色 Copyright A道化 2003-12-20 07:02:21
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