カバかもしれない
tonpekep

知らない

暑くもない

ちょっとだけ寒かったりする


初めまして
わたしは

あれ
誰でしたっけ?

夏の果てに棲むという

或いは大きな口をひらけて
あれはカバかもしれない

大きな口の向こうに
見える
たいいく座りをした
鹿の仮面を被った
おじさんがいて

分度器で
かなしい気持ちの
角度を測っている
けど

21世紀のことはほんの少ししか知らない


そこに暮らしていいのかさえ
ときどき不安になったりする


吉野屋では
毎日
豚生姜焼き定食を食べ終えたら
分度器で
丼の斜面の
切なさを測ったりする


50円引き券と
430円を払い続ける日々が
ずっと夏を引き延ばしてくれればいいのに

夏の果てに棲むという
あれはカバかもしれない

バカかもしれない

生きていることを知るために

夏の夜
ぼくはパソコンの前で
レモンを嗅いでいる


自由詩 カバかもしれない Copyright tonpekep 2005-08-08 20:15:17
notebook Home 戻る