月に吠える馬鹿(2)
AB(なかほど)

東京でも月ぐらいあるんだろう

でもほら
あの浜でやったように
月光の下
唄ったり踊ったり できたのか

お前が東京の大学に合格したとき
お前の母ちゃん幸せそうで
やっと大工の親方になれた
お前の父ちゃんなんか
酔っぱらって笑いっぱなしだった

俺も嬉しかった



結局お前はそれなりの人生を
都会で過ごしたんだろうが
お前の母ちゃんは
もう家に戻りはしないだろう
お前のことを
いつも自慢げに話してた


小さい頃から
同じふうに遊んで
喧嘩もして
同じように叱られていたのに
覚えてるのはあの頃の
笑顔ばかりで

いつからなんだろう



お前と違って
俺なんかただの
月に吠えるような馬鹿
それでも
まだ
ここで生きてる

生きている


それでいい って
こないだ親方が漏らしてた




  


自由詩 月に吠える馬鹿(2) Copyright AB(なかほど) 2003-12-19 12:23:21
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