私 信
るか

お兄ちゃん、と
呼ぶのが
照れくさくて
そのまま
僕たちは年をとった。

あなたは家を出て
後を追うように
私も出て
あなたは戻り
あるいは他所の国へ
私は
死ぬまであなたの弟なのに
あなたを突き放しながら
お兄ちゃん、と
呼ぶのが照れくさいのだ。

破れ窓から
現実のように白い雪が
吹き込んで醒めた夜半に
(おにいちゃん)
鋏の刃にうつる
おなじ目のいろをして
いま 何本の指で
降りしきる歳月を数えるのか

なあ(ねえ)
どうしておれは仏壇をつくれない。
あなたが父になれないのは
そこに落としてきた影が長すぎて
私たちがいまでもそのうえを
辿るばかりだからかな

唇の血をぬぐった手を
連日の雪で洗いながら
(おにいちゃん)

まだ そこで
待っていて
くれないだろう か





未詩・独白 私 信 Copyright るか 2005-08-04 04:06:05縦
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