☆砂城☆
かおる

もくもくの白さに
うるさいぐらいに蝉時雨
目をつぶれば 見えてくる
オシロイバナで化粧した
チョコレート色した 天使達



         とうみつの甘さ
         シャキシャキのかきごおり
         ふりあおげば 色 また 色
         かんけり みちくさ かくれんぼ
         みちに迷ったのは だぁれ



ジリジリと照りつける太陽に
一陣の熱風
とけだしていった こころ

荒涼とした大地にも
いつか 花はさくのだろうか



宙に浮かんでは消える 
ことばのうず
ネオン・サインのように
黒に吸い込まれていく
終わりには 陰鬱な影だけが
海鳴りのように 
繰り返されていく



夕べのあらしが きれいさっぱり
押し流してしまった
ちっぽけな 感情やわだかまりも

巣食っていた もやもやは
ジューサーにかけられ

稲光とともに 悲鳴を上げ
そして 消えていった

今 見上げると 何の変哲もない蒼さが
それでも どこまでも どこまでも
つづいていく



     甘い誘惑のたかなみに
  さらわれていった はな はな はな
うみにうかんだ 一枚の木の葉
     
       日にさらされ
     風にふかれ
   雨にうたれ
やがて 沈み 朽ち果てるだろう

      だけど




むせぶほどの 夏草に
ジンジンと 照りつける 圧倒的なひかり
こうばしさを ふりまきながら
トースト色した 手をのばし
あのこは 星を つかんだろうか
駆け出した 足あとを
くっきりと 砂に うつしていった




さんざめき いろをかえる
   ひかりのうず

サラサラとこぼれる砂つぶを
  ギュッと にぎりしめ
    あのこは どこまで いくのだろう




   ほら 砂のお城が
     風にふかれ そして 跡形もなく

   ただ 波だけが 静かに
     寄せては返していきました

   こんども 天使がやってきて
     新たな お城が できました


自由詩 ☆砂城☆ Copyright かおる 2005-08-02 17:44:52
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