yo-yo



ちっちゃい鯨ね
ぼくの絵日記をみて母が言った
海色の夏休み

まちの博物館の
部屋いっぱいに展示された鯨の骨を
ぼくたちは見上げながらスケッチした

せんせい、鯨も夢をみますか

みんなの笑い声で
先生の答えは聞きとれなかった
船の窓を模したという博物館の丸い窓を
ぼくは青く塗りつぶした

骨のままで眠りつづける鯨

夢のなかで
夢のそとで
ぼくはさがし続けた
丸い窓には
空と海しかなかったけれど

ときどき鯨の夢をみる
鯨は草原を泳いでいるのかもしれない
緑色のながいながい夢だ

繋ぎとめられた無数の鯨の白い骨のように
ながい夢は目覚めることができない

だから、おかあさん
ぼくはまだ帰ることができません





自由詩Copyright yo-yo 2005-08-02 06:22:07
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