歩行による思考の試行 
狸亭

途方もなく繰り返される通勤という愚行
なんとか自由になろうと編み出した歩行
いまでは神保町から西新橋まで徒歩強行
満員すしづめと戦いながらの空しい思考

電車と速歩各一時間でストレス解消成功
毎朝歩いていると詩想もあふれ誠に結構
身裡に循環する血液の流れる音の向こう
春夏秋冬の変幻の諸相を映して描く虚構

思考それ自体では解放にいたらないので
歩行により刺激をあたえるためには遠出
が時には必要なのに何処も彼処も逆撫で   
される不快感が消えないのは大変な人出

のせいばかりでもなく俗物思考のためで
感官を鍛え耳を澄ませて聴けセレナーデ
移りゆく肉体の全感覚解放により大富豪
日常と非日常の間を歩きつづけて行こう

 (押韻定型詩の試み 10)



自由詩 歩行による思考の試行  Copyright 狸亭 2003-12-17 09:28:14
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