転生浴
A道化



明けて、色彩が始まり
かつて刻んだ果実の朝の瞬間に
黄緑色の芳香と共にかつてたちこめた笑い声が
初々しい果実として、生まれ変わっているのを感じるから
わたしは齧る



ずっと、想われているような
永く永く想われてゆくような気がして、泣ける
ふと、手を合わす


暮れて、色彩が深まり
羽虫から飛び立った音の銀を
かつて私のために捕らえた手のひらが
今、銀色の音として、羽虫から飛び立つのを感じるから
わたしは瞑る



2005.7.28.


自由詩 転生浴 Copyright A道化 2005-07-28 02:55:33
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