その日から七月は
霜天

いくら温めても孵らない夕暮れに
灯りはじめた明りが視線にぶら下がっている
帰り道を間違えた私は
街角を覆う木の下で傾くようにして
蝉は鳴かない
明日への蓄えを手のひらに溜めるようにして
燃える前の花火の静かに眠る匂いに
そっと目を閉じている


眠ることを、忘れて
寂しくなりそうな日には
静かな夜を、遠く
懐かしく感じて
向かい合って座るには
遠く、響く音
ここまでは届かないから
潮騒を、探し始める


夕暮れ
ここでは一日は戻らずに
帰る道も昨日とは違う顔で
孵化
いつか、遠く
目覚める夢を見る



その日から、七月は


自由詩 その日から七月は Copyright 霜天 2005-07-26 01:49:43
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