カワガラス
コンパス

まるで花筏みたいに俺たちは
カヌーで石狩川を下った
川岸の枯れ草に沿うように
滑空するように水平に飛んでいくカワガラス
めずらしそうに俺たちを見てそいつは挨拶をした
水辺に住むというだけで
山里のハシボソや都会のハシブトと違う
高い山のホシガラスでもない
ビスビスジョイジョイ
チョコレート色で
川の上流の滝の裏に住み着くというお前が
水底のカゲロウを食べながら生きているなんて
誰も知らない
だけど、まるで都会の川を流れるタクシーのように
我々を何かを確実に運んでくれる
カラスの中で水底の生き物を食べているのは
お前しかいない
それでもあくまで、水平に飛んで
飛び方がハシブトみたいに鋭角的でなく
一回り小さいお前が、あくまで速く水平に一直線に飛ぶことが
俺の救いだった

だけど、世の中は
ハシブトガラスとハシボソガラス
カワガラスの区別なんてわかりはしない
塵を食う動物くらいにしか思っていないのさ



自由詩 カワガラス Copyright コンパス 2003-12-15 19:21:17
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