一羽の小鳥
恋月 ぴの

僕は一羽の小鳥
左利きの小鳥
優しさと思いやり
静かな暮らしを願い生きてきた
一羽の左利きの小鳥

いつも片目を閉じて
楽しさにかまけて
見て見ぬ振り
まわりばかり気にして生きてきた
一羽の左利きの小鳥

何かしただろうか
何もしなかった
何もできなかった
左利きであることを隠して生きてきた
一羽の左利きの小鳥

左利きはいけないと
何度も治された
治そうとした
けれど左利きの血が僕の体を流れているから
気がつけば僕は
一羽の左利きの小鳥

僕は一羽の小鳥
左利きの小鳥
言わなくても良い事を
黙っていれば良い事を
思わず口に出しては後悔ばかりして生きてきた
一羽の左利きの小鳥

今は片目を閉じている
いつしか両目を静かに閉じる時が訪れるだろう
その時が訪れるまで
僕は一羽の小鳥
左利きの小鳥

小さな幸せ願い生きていく


自由詩 一羽の小鳥 Copyright 恋月 ぴの 2005-07-22 09:30:21
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