三華遠・朝 
木立 悟




白から白へと響きわたり
限りあるかたちに届くのは
ほんのわずかしか続かない
どこにでもある小さな高まり
次々とほどける空気の結び目
とめどなくひろがるひろがりの
三つの遠い華やぎの音


青の向こうの青にまで
砂と水の腕は昇る
夜風は倒れ
森を散らし
冷たい網目の陽を飾る


海のにおい
鉄のにおい
夜の雨が残していくもの
野の草が震え
幸せをみな手放すとき
光は地の内に
大きく静かな門を作る






自由詩 三華遠・朝  Copyright 木立 悟 2005-07-20 11:37:25
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三華遠季節