はこねこ
コトリ
わたしが放課後こっそりえさをやっていた
あの河川敷の林の猫を
あなたがちいさな段ボールに詰めたとき
ほんとうはおどろいたし
とてもかなしかったのだけれど
それがあなたの愛し方だと知っていたので
なにも言うことができなかった
決して出られないように
ガムテープでぐるぐる巻きにされた箱を
贈り物だと
誇らしげに手渡したあなたは
か細いその鳴き声が
やがて狂気の叫びと変わっても
しあわせそうにしていたね
あなたの愛するわたしが
愛するあの猫を
あなたの愛し方で
愛することさえ
世界の法則とするあなた
ねえ あの猫 しんだよ
自由詩
はこねこ
Copyright
コトリ
2005-07-20 05:14:08