九月三日、僕は死んだ
メキシコのティファナで

　黄色い風は心をすかし
　物売りの少年は
　人生を今だと言う


二月十日、僕は死んだ
ポルトガル領マカオで

　外国の顔をした街と
　モンゴロイド黄色人種
　春にすがる少女たち


五月七日、僕は死んだ
スペインのマドリッドで

　長い長い夏休みの最中
　腹でものを考えるママ
　薄れていく原色の街


十月三十日、僕は死んだ
アメリカのロサンゼルスで

　超高級アリ付きホテル
　運の良い路地、悪い路地
　ガムのような脳味噌の波


そうして僕は死んでいく

生は死の次にやってきて

僕はまた

新たな死の地平線を見つめている