*凍てつく*
かおる

摩天楼の輝きは南極の煌めきに似て

梅雨空が霧雨のようなブリザードを呼び込む

クールビズなどどこ吹く風で皇帝ペンギンが

大挙して目の前を通り過ぎていく

陽炎が眩暈を連れてくると

季節の境界も曖昧模糊となり

せわしなく寄せては返す車の波

現実はやはり氷山の一角で

沈没する訳は星の数

あの潮流に乗ってしまえば

幸い棲むと言われても

言葉もいつか膿んでいく

群れから離れた

一角鯨の遠吠えがむなしく

貝殻の耳にこだまして消えた


自由詩 *凍てつく* Copyright かおる 2005-07-14 17:20:30
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