転向。あるいは秋のいかづちの降る
本木はじめ




遠き田の隅に孤独は佇みて親しきわれの呼ぶ声を待つ


白きゆり手折る微々たるゆびさきの力でわれをあやむるおまえ


君が代をふたりで唄うさつまいも甘き田舎の夏の縁側


鹿たちが食めば食むほど草花はしづかに夢の途中を探す


サイレントつづれば辺りは闇の原まもなく秋のいかづちの降る


さなぎから孵りこの世に羽ばたくを拒む永久心中が為


ハーモニカきみが一音吹くごとに微かに揺るるエーデルワイス


ゆるやかに老いはもしくは瞬間にわれらの今を人質とする


イメージの欠如を生みし世界撃て人差し指を銃口として








短歌 転向。あるいは秋のいかづちの降る Copyright 本木はじめ 2005-07-12 14:04:03
notebook Home 戻る  過去 未来