しらない
竹節一二三
しらない をおいかけたら
からかうように空をすべった
梅雨のあいまの明るい風に
しらない しらないと
はしって逃げた
いつだって
しらない は遠く
つかめそうな距離でも
生卵のように つるんと
逃げてしまう
一本だけ青緑に染めた爪でも
つかまえることは できない
夢の中でも
しらない を追いかける
わたしのものにはならない
しらない は笑いながら
わたしの中に きえてった
もう つかまえられない
自由詩
しらない
Copyright
竹節一二三
2005-07-11 02:29:49