*回転木馬*
かおる

景色に向き合って
言葉に託して 文字に興して 整理整頓
アルバムのページがまた一枚 綴られていく
たった一つしかない煌めき

めぐる めぐる かぜ めぐる
       影灯籠に映る少年の面影 
    寄せては返す 喜びと哀しみのさざ波
走馬灯にうつろう時間

めぐる めぐる 魔法の言葉 
くる くる くると 鏡に映す

暮れなずむ そのときに 朝がその日 最後の輝きを投げ
黒のヴェールを羽織っていく
ギラギラの原色 軽快なサンバのリズムから
淡く 柔らかく ぼやけていく輪郭
のどかで 間延びした スチールギターの音色へ
めぐる めぐる 光と影 
 じっとりと纏わりつく重厚な闇と
     ペラペラで薄っぺらの夜から
    今 光が生まれる
  そらと大地とちっぽけな自分
ぐる ぐる ぐる ぐる るるるる

めぐる めぐる うた めぐる 
  想像の翼 夢はどこまでも
         楽園までも 駆けていく

今 わたしがたっている この景色は
   蒼い地球の見ている物語

古代カンブリア紀から
     遥か未来の彼方まで
ナノ原子レベルから
     遠く宇宙の最果てまで
  一瞬 一瞬の煌めきを
わたしの網膜の思い出箱に収めていく
 うっちゃってしまった昨日も
 もう見たくないと 閉じてしまいたい明日も
誰も代わりに 見る事のできない
たった 一つしかない 風景

同じ映像が流れていても
見えてくる物語は
どこかが 少し 違っている

めぐる めぐる めぐる
    郷愁と哀愁の色
  ロンドな円舞が手風琴の音に乗って
めぐる めぐる とき めぐる

そう わたしたちは 地球の詩を子守唄に
 いつも わたし色の 夢を 見て生きのびていく


自由詩 *回転木馬* Copyright かおる 2005-07-08 23:43:23
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