雨天順延花火・・8月7日・・
コンパス

あの閃光が忘れられようか
瞬時に街頭の三万は消え
圧しつぶされた暗闇の底で
五万の悲鳴は絶え
  ・
  ・
 (中断)
ウズマクケムリガウスレルト

ビルディングの裂け目を縫うように
この町に涼しい夏花火が上がる
さっき聞こえた声は
五万人の花火を見上げる歓声だった

闇をつんざくドーンという
破裂音がこの町に響き渡る
橋という橋の上の
車の視線は花火に釘付けにし
瞬間この町をライトアップする
町の名前はサッポロ

泣く子を抱いた母親の頬を照らす花火の明かり
川筋を彩る仕掛け花火の涼
スターマインは花火の王様だ

「本日の花火はこれで終了します・・」
とアナウンスが響くと
大群衆はさざなみたち
つれずれに家路へと急ぐ

映画じゃ戦争はいつもくすんだ赤色だったな
明かりに覆いをかぶせ
暗い色で我が身と我が町を守ったものたち

家に着くと
花火の異臭のよどんだなかで

カナダライニトブハエノハオトダケ

 (中断)
  ・
  ・
三十万の全市をしめた
あの静寂が忘えれようか
そのしずけさの中で
帰らなかった妻や子のしろい眼窩が
俺たちの心魂をたち割って
込めたねがいが
忘れえようか!


自由詩 雨天順延花火・・8月7日・・ Copyright コンパス 2003-12-10 18:13:02
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