プレシャス
かのこ
無地のワンピースを着て
濃いめのカルピスを作った午後
汗の珠を額につくり
夏のにおいを、すこし思い出す
ベランダのコンクリートにできた
幼い模様に
ため息を吐いて
また高くなり始めた空
あのころ覚えた夏は
夏がくるごとに溶け出して
今はもう掬おうとしても
指の間もすり抜けてしまう
泣いてはいないのだよ、空、青
白い甘い液体を飲み干して
懐かしんだのは夏
幼さを残した
自由詩
プレシャス
Copyright
かのこ
2005-07-06 18:59:49