渡り鳥
はな 


冷蔵庫のスイッチを切るとき
すこしくすぐったくて
おにいちゃんの足音を 耳に返していた
今日はきのうよりすずしくて
風が すけてゆくので 


きのうは
カクテルで酔った
ママの煙草は かやくみたいな味だった
でんせんに てんしが
とまってないかしら、って
まどをあける
猫が声をださずに 泣いている



はねのない蝶は
しずかに 蜜をひたして





今朝
あなたのばんごうを何度も押したでんわきで
波の音をきいた
ちいさく声を出しそうなお荷物と
ふるいじしょがものほしそうに たたずむ
淡々と寝違えたひとをなおしてゆく
そんな顔の
あなたを
おもいだしたくなくて
ガムテープをびりびりとほどいた



ママの急かす 声を背に



いつか
あなたとみつけた秘密

天鵞絨 をじしょでひくと
今も
見晴らしのいい海が
ひろがっていた


自由詩 渡り鳥 Copyright はな  2005-07-03 11:34:34
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