品川駅
リヅ

真夜中 駅のホームでは
たまにカレーの臭いがする
それは風みたいにすぐに流れて消え去って
僕がもう一度白い息を吐いたときには
その形すら思い出せなかった

そういう夜は電車に揺られながら
月日に流されていったものの
輪郭を少し取り戻せるんだ
日曜の朝とか 誰かと作った秘密基地とか

一人暮らしも板についた
マフラーを巻きなおす
頑張ってるよ ちゃんと頑張ってるよ
でもこの電車 降りる頃には
きっともう忘れちゃってる

たまにカレーの臭いがするんだ
真夜中 駅のホームで


自由詩 品川駅 Copyright リヅ 2005-07-01 23:44:46
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