戯言
大覚アキラ
たぶん
おれ
という容れ物の中には
さまざまなものが転がっていて
それはたぶん
おれ
が
おれ
として在るためには
絶対に必要なものなのだろうけれど
同時にそれは
おれ
以外の不純物に他ならない
というのも事実
なあ
そこのアンタ
おれのことを
まるで宇宙人か
ミーアキャットの交尾でも見るみたいな
そんな目つきで見てるアンタ
アンタにひとつ訊いてもいいかな
おれ
というのは
この容れ物のことなのか
それとも
容れ物の中身の不純物のことなのか
あるいは
その両方併せて
おれ
なのか
おれ
は
たとえば
真夜中の路上に落ちているカラスの死骸
どこかの海水浴場に落ちている薄緑のガラスの破片
大破したランボルギーニ・ムルシエラゴ
誰も一度も開いていない広辞苑
シャム猫が公園の砂場につけた小さな足跡
ネスカフェゴールドブレンドの瓶
キーファー・サザーランドのニヤけた口元
賞味期限切れのパルマ産生ハム
三葉虫に似た未発見の生き物の化石
本当にあった呪いのビデオ
とか
そういうものであり
また
そのどれでもない
と思うんだけど
アンタの意見はどうだい
ま
どうでもいいか
自由詩
戯言
Copyright
大覚アキラ
2005-06-28 01:45:33