水蒸気のような、消えていない
nm6

そんな恋は、落雷みたいなもんだ。遠くのほうでピカリ、と、気づいた頃には、サングリアのワインと果物のような関係でいたい。それで、ぼくらは届かない空も君も何もかもを見上げて仰ぎ、ピース、と言って逃げる。平和はまるで真っ白でつまらない、揺れ動くたとえば街を走れば。




酔ったときのあたたかさを、シニカルな人へ。
頬を茹でる果実の試みがぼくらをきまぐれな言葉の世界へ奪い去って行く。
空、


  明るく照らされた雲は吐く息と同じく感情の
  かたまりで/落下する

            水蒸気のような、消えていない



そんな恋は、学祭みたいなもんだ。泡のように通り過ぎてフワリ、と、気づいた頃には、誰かのギターの弦とピックのような関係でいたい。それで、ぼくらは届かない空も君も何もかもを、


見上げて仰ぎ、
見下ろして優雅に飛び回り、
旋回し旋回しここぞとターンし旋回し、
迂回してやっとのことで着陸したベッドの恍惚、




午前1時、ぼくは、ピース、と言って逃げる。その先はとんでもくだらないところさ。そうして戻る平和も、きっとまるで真っ白でつまらない。垂れ流す空と音量、だから揺れ動く。ぼくらは糸が切れたようにたとえば、颯爽と後方を風に見えないリストバンドののぞく裾から。さあ気をつけずに、あからさまなチューニングで逃げる逃げる。自信ありげに街を走れば、笑いながら届こう、届こうとしているのかもしれない。遠い君のあるどうしようもない箇所へと、そして緩やかな景色が望み果たせない宇宙へと。


自由詩 水蒸気のような、消えていない Copyright nm6 2005-06-28 01:27:24
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