夕陽が堕ちる
千波 一也


もともと
あてになる眼ではないけれど
それでも
夕陽の色彩くらいは
心得ている

川辺は 減速を始めている
木立は 瞑想を始めている
鳥達は 安息を始めている
あきらかに夕陽の時刻


あしたへと向かうはずの
赤は
わたしの知らない方向とは
逆へ

真逆の道へと向かっている


夕陽が堕ちる
ともなって
わたしの行く先は
まだまだ 過去
絵はがきとして
誰かに渡っていったはずの
過去


夕陽が堕ちる

わたしは
まだまだ
眠られない




自由詩 夕陽が堕ちる Copyright 千波 一也 2005-06-26 20:36:49
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