花火
ブルース瀬戸内

大きな花火があがります。

小さな花火もあがります。

中くらいの花火もあがります。


きらびやかな色という色が

夜空を照らすのではなくて

夜空を背景にして

星の合間をぬって

色と光をぐんと伸ばしています。

それが川面に反射して

それがあなたに反射して

それがあなたの赤ちゃんに反射して

赤ちゃんは色をつかまえようと手を伸ばしています。

目は光をじいっと追っています。

生命力のあるものに赤ちゃんは敏感です。

どんなにはかなくたって。


大きな花火があがります。

小さな花火もあがります。

中くらいの花火もあがります。


ずっと見ていると

花火以外のものは

何も知らないような気になってきます。


赤ちゃんは色をつかまえたらしく

ずっと手を握ったままです。


自由詩 花火 Copyright ブルース瀬戸内 2005-06-21 22:17:09
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