思い出セーキ
小太郎

自動販売機に 百円いれて
みんなで同時にボタンを押そうと
あの娘が言った

あの娘はオレンジジュースの前
僕ら8人の小学生は
それぞれ適当なところに立って
いっせいのーで

ミルクセーキが出てきて
僕らは なんだこれ と思いっきり笑って
あの娘は オレンジジュースが飲みたかったのに と言った
じゃあみんなでボタンを押そうなんて
言い出さなきゃいいのにと 僕たちはまた笑った

人がもっている 楽しさを求める気持ちが好き
楽しさを求め過ぎて 目的を見失う姿が好き
不安定な心の動きにはいつも救われる
完全を装うものは 好きじゃない

ミルクセーキのセーキって?
甘いっていう意味だと思った

今思うと僕らには
ミルクセーキはぴったりだったんじゃないかな


自由詩 思い出セーキ Copyright 小太郎 2003-12-06 12:41:10
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