【 命の伝え 】
豊嶋祐匠














私たちは、ただ

一滴の水を残すために

この世に現れ

子を産み、育てるのでしょう









両手に溢れる

この水流を

貴方の手の中にも、注ぎましょう









添え重ねた指の隙間から

零れる事を恐れず

ずぶ濡れる事から逃げず

漏れ落ちる事に拘らず

地に染み入るものを惜しまず






私たちは、ただ

一滴の水を残すために

この世に留まり

子を産み、育て続けるのです









たとえ

そのために削がれる身に

意義無き

価値無き

けして

喜び無き日々が

費やされたとしても






私たちは、ただ

一滴の水に残る

命を伝え

その慈しみを

見届けるために、生き続けるのです。















自由詩 【 命の伝え 】 Copyright 豊嶋祐匠 2005-06-16 18:23:51
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