とことん混沌
ベンジャミン

曖昧にしたまま置き去りにするうちに
多くは忘れられてしまうから
忘れられたものと結びつく他のことまで
曖昧になってしまうんだ

あいまいみーまいん
私は私の私を私のものとすることができない

とことん考えることを
どこかで諦めてしまうのは
上手に生きる方法なのかもしれない
すでに忘れられてしまったものたちは
思い出すこともできないから
混沌は膨大な無となって広がってゆく

けれど
日常を埋め尽くす多くの出来事のうち
ほんのわずかを記憶してゆくことは
もしかしたら
失ってゆくものたちと吊りあうのかもしれない
という希望を持っている

あいまいみーまいん
私は私の私を私のものとすることができない

だとしても
たとえば今日という日を生きなければ
明日は永遠にやってこないという真実
その中に曖昧が含まれているとしても
また明日もそうやって生きてゆくのだ

ほんのわずかを記憶しながら

とことん混沌とした日常の中
多くのものを忘れてしまうとしても

あるとき
ふと大切なものに気づかせてくれるのは
そんなわずかな記憶たちだから
あまり嘆かないようにしようと思う

混沌があるからこそ
浮かび上がるような確信もあるのだと

だから
そこんとこよろしく
   


自由詩 とことん混沌 Copyright ベンジャミン 2005-06-09 13:14:45
notebook Home 戻る