朝の土手のチンピラの遠吠えから
バンブーブンバ

朝の土手のチンピラの遠吠えから(採録)

  *

 ちょっとだけ
 オレのはなしをきいてくれ
 土手をあるいていたら
 ひとりばあさんがいたんだ
 ばあさん
 さむいのに
 はんてんひとつで
 すわってイヤガッタ
 だれもいない
 朝の5じだ
 このじかんじゃ
 クソババァかオレらみたいなクソッタレしかいないんだが
 いちどはスかしてあるいていってヨ
 でもヨ
 ばあさん
 うたってイヤガッタ
 うたってイヤガッタからじゃねぇんだが
 なんだかしらねぇが
 プチカプチカってヨ
 オレがチビのころよくきいたリズムだったからヨ
 かぜひくゼ、ババァ
 て、川にむかってしゃべってやったんだ
 ばあさん、泣いてイヤガッタ
 朝からババァのなみだはイケてねぇが
 しかたがねぇからコンビニで買った缶コーヒやってヨ
 まぁ、どうせのみはしねぇだろうが
 ぬくいだろ?そいつがあればヨ
 ってな。
 そしたら、ばぁさんなんてヌカシヤガッタとおもう?
 たまげたヨ
 おれの名前をいいヤガッタ
 しらねぇがきもちわるくなってヨ
 スッとんではしっちまった
 ドンくらいはしったかしらねぇが
 ふりかえったら缶コーヒーしかなくてヨ
 でもあのプチカプチカが耳にへばりつきヤガッテ
 電話したんだ
 ヨウ、げんきかヨ
 って。
 しらねぇ男の声がこういいヤガッタ
 ゴリンジュウデス
 ってヨ。
 おれはヨ、たしかにここまでプラプラだった
 だけどヨ
 こんなことってねぇゼ
 そうしたらぶんなぐりてぇようなこといってキヤガッタ
 「アノコハヤサシイコダッタ」ト、ツブヤイテイマシタ
 ってヨ。
 オレはな
 べつにそんな意味でシたんじゃねぇゼ
 おれはゼンゼンやさしくなんかねぇ
 うっとうしいんだ
 わかるか
 テメェのことなんか
 これっぽっちもだ
 ちくしょう
 ちくしょう
 クソッタレ!
 クソッタレ!
 クソッタレ!
 ああああああああああ!
 クソババァああああああああああっ!
 最後までテメェのことなんか
 クソババァああああああああああっ!
 ああああああああああ!
 
  *

彼はSUZUKIのナナハンにまたがって
バージンロードをマックスで走り抜けていった
5時12分
いろんなひとがいる
たしかに朝はクソッタレしかいない
それにしても
なんとなくだが
ぼくも
「ババァ」はキライだ


*雪のふる夜はたのしいペチカ。
 ペチカ燃えろよ。お話しましよ。
 むかしむかしよ。
 燃えろよ、ペチカ。


さて、
ぼくも
出勤だ。



*『ペチカ』作詞:北原白秋、作曲:山田耕作


自由詩 朝の土手のチンピラの遠吠えから Copyright バンブーブンバ 2003-12-03 21:17:35
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