小説の習作 原稿用紙三頁 #19
田中教平
ユウスケは二日酔いの頭で思いかえしてみた。
インターネット上に数人、アルコールの問題で、断酒にのぞんでいる方がいた。元々、彼はアルコールに弱い人間であって、お酒の問題とは無縁であると思っていたが、しかしここ最近、アルコールに対し、耐性がついてきている事に気づいた。そしてユウスケの父方の祖父はアルコールを原因として五十で亡くなっていたのであった。
加えて、ユウスケは精神薬を少量、服していたが、コンビネーションを起こして、具体的には脚の関節が動かしにくい、という状況を生んでいる可能性があった。
又、ユウスケはパンにラーメン等、小麦製品を食べてきたが、小麦に含まれるグルテン、これに対し、彼は耐性が無い、と言えた。これは指摘されて判明した事で、彼は図書館に行って、本を読み、調べ、そうしてやっと自分の頭で明確に判断が下す事ができたのである。
もう、パンはよしておこうと。
ここでやめるべきは、アルコールとパンである。しかし、現在煙草をやめているユウスケは、何かその特定のものを「やめる」という事がいかに大変であるかわかっているつもりであった。
──と、ここまで考えてユウスケの腹の中にある一本の糸が、プツリ、とキレた。
彼は財布を手にとると、靴を履いて自宅の外に出た。そしてグングンと、近くのコンビニまで歩いて行った。コンビニに着くなり
「ハイライト」
と、レジの馴染みの店員に向かっていった。
ハイライトを手で掴むと、又、歩みはやく、自宅まで帰ってきて、キッチン、換気扇の下に向かい、ハイライトを喫った。
妻がそれを目撃すると
「なにしてんの、なにしてんの」
と言った。
「いいんだ、いいんだ」
禁煙薬を服していたので、不味かった。しかし彼の怒りは紫煙と共に、ある程度、昇華された。
キッチンにはウイスキーの瓶があった。まだほとんど残っていた。彼はキッチンシンクにウイスキーをぶちまけた。
──彼がピストルの所持が認められている国に住んでいたら、そこらの大木に向かって、ダンッ!と、一発撃ち込んでいたかも知れぬ。
「ああ、ああ、勿体ない事して」
と、漏らしたのは妻であった。
ユウスケ、彼は今後の生き方の方向性を整理する為に、仕事用のバッグを漁った。古いメモ類など、すべて処分した。
そして次の標的は本棚だった。
(これらの本の中から言葉を引用はできぬ。しかしこれらの本は私の身になっている)
そうして、ユウスケは静かにため息をついた。