窓の習慣
後期

窓の隙間から
ひそかに
窓が入る。

Tシャツを
ひそやかに、脱ぐように
部屋が捲り返されていく。

ひとりで良かった
家族は諸用で泊まりなのだ。
気の毒なのは猫だ。
もう逃げる隙さえ
用意されていない。

部屋は、息をひそめ
そらで数えている。
どのくらい息を
止めていられるかを。

風の流れを見つめる。
だいたい四分だな、
ぼくの経験では十分という
最長記録があったけれど、
寸前だったな、、

あの窓は、若く見える
が、人で言えば
四十代であろう。
そんなに無茶は、しないに違いない
いや、あんがい三十代かも知れない。

窓は、ひそやかに
侵入をやめてくれない。
家族ごとやられた時は
阿鼻叫喚だったけれど
今日は不幸中の幸いだ。

風が生活の匂いを
吸い込んでいく。
先週、買った机が
少しずつ折り畳まれていく
それが、とても辛い。

ぼくにも、諸用があれば良かった。
クーちゃん、こっちへ早くおいで!

ひそやかに、窓は進撃を続け
部屋は
裏地を、露にされていく。

ぼくはさしずめ
洗濯表示のようなもので
猫は糸屑。



自由詩 窓の習慣 Copyright 後期 2026-02-26 13:41:28
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