メモ
はるな


お正月はあわただしく過ごした。姉やいもうとの子供たちと、むすめ、気難しくなってきた犬の宝籤と、姉妹とそれぞれの夫たち、両親。姪っ子が掌いっぱいに南天の実を採ってくれば、自分も欲しいと泣く甥、それよりももっと多く欲しいと怒るべつの甥っ子。
こどもたちのための食器は、優しくて小さくて嘘みたいって思う。

むすめはほとんどわたしと同じ背丈になって、すれちがうたびに母に「あれ、はなちゃんか。はなちゃんだかはるなだか、わからないわね」と嬉しそうにされる。(むすめの食器は、大人用のものと同じになった)。

宝籤。黒い目を濡らして、庭に寝そべっている。ボールが飛んできても、ちらりとみるだけで動かないときもある。でも、父や母が散歩用の紐を壁からとる音を聞くだけで、尻尾はぴんと立つ。宝籤のしっぽの先の白い毛は、少しずつ増えている。

そこらじゅうに折り紙。人数分のタブレット端末。充電器だらけ。母が活けた桜の枝。何種類ものウイスキー瓶、箱に入った焼き菓子。手際よく詰められていくおせち、それとは別に宅配で届くおせち。海老の殻を剥き、ゆり根を洗い、牛蒡を洗い、大根を洗う。いつも誰かが泣いている。抱っこばかりされている子。隅っこでタブレットをいじっている子。目を離すと高いところに上る子。姉がものすごい勢いで食物を消化していき、夫がそれに次ぐ早さでビールを飲みこんでいく。母の手が蕎麦の粉を落としている、いもうとが疲れ果ててソファで眠っている。父は書斎に引きこもって日記を書いていて、その膝には姪が座っている。
「コーラかいに行こうか。」とこっそりむすめに耳打ちして、即座にコートをひっかけて表へ出る。元旦のローソンで買い物をしたら、「お年賀です」と、ラムネを一粒もらった。昨日の続きの今日、すこしだけ幸福でありますように。と願っている。


散文(批評随筆小説等) メモ Copyright はるな 2026-01-13 08:54:48
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