解説「川べりの家」松崎ナオ
洗貝新


ご存じだと思うが、NHKのテレビ番組「ドキュメント72時間」のテーマソングだ。
この曲が終わりに流れてくるといつも涙を誘われる。孤独の淋しさを知ってる人間ならば当然だろう。

「大人になってゆくほど、涙がよく出てしまうのは
一人で生きて行けるからだと、信じて止まない~」

冒頭からの二行目までの歌詞を拾ってみたが、
当然メロディも好いのだが、この歌詞の佳いところは~信じて止まない~ここだろう。
詩の中の主人公は、後半にボク、という男性言葉に置かれているので、
思春期から大人の仲間入りをしようとしている青年か、
それとも同じような年頃の若い女性だろうか。
最近の女性は、自分のことをボクと表現する人もいる。
~信じて止まない。
何故ここに惹かれるのか、と言えば、
これから家族と離れて独立していかなければ成らないという、
この寂しさと意思の覚悟が垣間見れてくるからだ。
これが~信じていける、或いは~信じていくの、など、
女性が何気なく言葉を口にするとき、普通このような表現を使いがちだが、
~信じて止まない~止まない、とは強い意志決定の覚悟と、 
それに付随して侘しさや淋しさへの思いが、 
読み手(聴き手)たちの経験や記憶を促し共有され伝わるからだ。
こういうちょっとした表現の違いも非常に参考になると思う。
是非皆様も。








散文(批評随筆小説等) 解説「川べりの家」松崎ナオ Copyright 洗貝新 2025-12-23 06:22:55
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