煙草
杉原詠二(黒髪)

今晩は
冷えますね
灯るホタルは
趣深いですね

いつも
厳しいお仕事に
体も冷えて
大変ですね

もしよかったら
わたしの家に上がってください
飲み物
食べ物など
用意しますから

人は寂しいと
心を病みますから
お互いに
交流させて頂いたら
嬉しいです

警戒や
自戒心などございますね
道理に見捨てられた
あなたは
こんな寒さを

わたしも踏み込めぬ
あなたも頼られぬ
世間の掟が
厳しいもので

あなたが死にませんように

もしわたしに力があれば
社会常識など
うちやって
あなたを助けますが

縁と力の
結びつきが
わたしの回復によって
達成されますようにと
ひとり考えています

まだ決まっておらぬ未来を
どう変えようとも
死の年までわたしが生きることの
責任の取り方と
考え始めています

周りと歩を揃えねばならぬ理由は
心と体のバリア
ただ自己の決心のみによって
どんな人も報われていくはずです
それが集合的な
いまわたしの世であると考えますので

せめてテレビやネットでつながった
壮大なパーティーを
紡げたら
愛が夜の中を飛行して
ホワイトクリスマスを演出することを
マッチ売りの少女のように願いましょう

少女の口から詩が紡がれたとき
世界の縁が光り輝いて
詩は世界を変え得るのだと
自己の胸の内で証明される
その範囲はまだ己ひとりであっても
いいではありませんか


自由詩 煙草 Copyright 杉原詠二(黒髪) 2025-12-14 18:41:12
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