ガリラヤ郷愁
石垣憂花

 教室で心くだいた
 日々も過ぎ
 今日はすずろな心地です。


 いまや厚い雲壁の鎖はとかれ
 世界はつめたく
 何も教えてくれません。


  それは幸いなるかな…


 死海のほとり辺は
 ここなら
 スイセンの植え込みで…


 いま立ち止まって黙っていると
 私のかすかの信仰が
 胸の奥で鳴っています。


 見知らぬ路地は
 ひとつではなく
 気づけばしずかに
 何もわからないまま


 礼拝堂のニスのかおりの
 列車を探して歩いているのです。


 シオンの丘を吹き抜ける風や
  この夜旅立つ列車が
 私を待っているけれども

 私はここでただしく立っています。


自由詩 ガリラヤ郷愁 Copyright 石垣憂花 2005-06-03 22:19:47
notebook Home 戻る