グランドフィナーレのあと
花野誉


昨年の冬 
ついにグランドフィナーレを迎えた

一年半訪れず
そして再びの来訪に驚き
慌てふためき病院にまで行く

「そういうこともありますよ」

お医者様の言葉に安堵した
確かに
フィナーレには早すぎる気がしていた

再訪から三ヶ月後
ぴたりと来なくなった
最期の幕引きは賑やかに
盛大な出血で 私を驚かしつつ去った

やっと解放され
この気軽さ、気楽さよ

毎月毎月
毎年毎年
頭痛の日も 腹痛の日も
ひたすら耐え凌いできた

女として生まれ
これが当たり前と生きてきたけれど
もしもオーランドーとは逆に、
深い眠りから目覚め
〝男の身体〟になったならば
この痛みに どんな想いを馳せただろうか
懐かしく思えただろうか
それとも、二度と戻りたくない日々だったろうか

それほどまでに
痛みと共に過ぎた年月だった

そして
解放されたのも束の間
今度は〝ご不浄近し現象〟

〝座布団〟はいらない、と
身軽になった矢先
別の〝座布団〟の気配が近づく

きっと私は
お宙に旅立つまで
何かしらの〝座布団〟と共に生きる気がする





















自由詩 グランドフィナーレのあと Copyright 花野誉 2025-11-19 13:31:36
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