月光
秋葉竹



月の涙をみた

あまり関心は無かったけど

ふとみあげると痛々しかった
守ってあげたくなった

なにを為すこともできないのだけれども



クマを撃つ銃声が朝っぱらのテレビから
バンバンと聴こえるよ

彷徨って獣はなにを想い生き、死に
ひとはなにを想って秋に彷徨っているのか

犠牲はあまりにも大きく
悲しみは何処までも広がる

夜の傷を舐めて
私も悲しみのカラスになるのか

初めて命を心細い糸だと想った
そのとき突然、命を大切に想った


夏は雲に乗り、去り
秋は冬の匂いをさせて急にやって来た


まるで朝にはブラックコーヒーを飲むように
黒い詩が目のまえに閃いている、ルーティン

あたりまえの意識を持って
こんな世界に生きている

幸せ
なんて何処にでも転がってる気がしていた
むかし

なにを為すこともできないのだけれども

日々なにかを守ることを考える
突然、閃いた、月と
むかしの幸せの中の傷

むかしの幸せの川に溺れた
傷を癒してくれた、世界を照らす月光








自由詩 月光 Copyright 秋葉竹 2025-11-06 07:48:25
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