カケスすなぜ、泣かないの 蒼風薫
エヴァル-ジュ
私何も見えなく開くなればいいのに
聞こえなくなればいいのに
言えなくなればいいのに
感じなくなるのが一頭いい(例えば空腹)
そんなことばかり考えるカケスは
カケスの中でも異端で
おんなじ黒い翼のはずが
なぜかいつかしら目立ってしまう
願うばかりじゃなくて さすがに悩む それでやっぱり
私何も見えなくなればいいのに
聞こえなくなればいいのに
言えなくなればいいのに
感じなくなるのが一等いい
(それは恥ずかしさ)
とても恥ずかしむて いたたまれずに
ついに翼を折りたたむ そのままとりあえず歩いていたら
感じたくない空腹を覚えやすいようで
やっぱり辛い せっかく悩んでも どうしても
こうしているのって大変なこと
それなら少し休もうと
生まれて初めて横たわって見た(例えばと思って)
例えばと思って横たわったそのことがまた
かえって目立ってしまう
どうして良いのかわからない/その時翼が頼んだ
羽ばたきたい!
謝ると そのカケスは 世界に耐えることの限界にきて
ふとできたことは
感じたくない空腹を感じ続けることだけでした
あるポエジー
なぜこんな・・・
そうないて(とても驚いて)
どこかの彼方に隠れに行ったカケスが1羽
鏡すぎるガラスの前でついうまいもん見つけて
さて幸せいっぱいで首を伸ばしたら
真っ黒でいびつなこれが自分なのかと
愚かな馬鹿カケス!
と言って悲しみが寂しく消えてゆくのを
泣きながら赤いランドセルの松寿が見ていた
三つ編みと十字架と、リボンの制服の歳になって
ふと かのカケスを思い出した少女は
その日からいなくなった あの日を探しに行くために
だって気になって気になってたまらなくなって
行方不明も時効だと、お葬式とき
倒産も母さんも もう涙も枯れていたらしい
とそこへ(そこへ)知らせに戻ったポエジーが
どんなに歌っても どんなにソプラノでも
少女には届くわけもなく
なぜなら少女はそこで(樹海で)行き倒れてしらじらと
その傍らには小さく白く あの日のカケスの亡骸の
・・・・このポエジーだけが知っていること(このポエジーの孤独!)
戦ぎ
花野の無垢なそよぎに打たれ
閉じることができなかった
ごめんね雪が降ってきた
埋もれて行くよ冷たさに
見えなくなって本当は
それは隠したかった悲しみ
信じ続けたい透明な愚か
私の
こう言う時に
(こう言う時に)
いつも見えてくるのは
いしっころばかりが転がってる原野
曇っていて 夜ではなくて
怖さや寂しさは ない
色彩の単調な灰色の中に唯一
そよぐ1輪の青い花があって
そこまで走っていって私は
その花をもっとしっかりとはっきりと
姿形を掴めるほどに見たい
そう願う けれど叶わずに
それなのに悲しさもなくてだから
たぶん本当のお願いは どこかに
伝わって許されて
これが私に残された幸せの全てなのだと
こう言う時にいつもありがとうございます
無知
鳥は 空を飛ぶ時に
これが自由って歌うかな
或は『不測』とつぶやきながら?
鳥は空を飛ぶ時に
羽ばたく権利、って言うかな
或は『仕事』と泣きながら?
淡々と 温かった
2歳の日々の私の語彙よ
爾来
夕日は語ってくれる
今日の叙情をあますところなく
そっと朗らかに
やがてしんみりと
燃えながら終わりながらやがて本当に 死ぬ まで
自らの何すら惜しむことなく
この町の誰に向かってでもなしに
けれど『私に』と 独りにひとときの夢のような
足を止めてため息とともに見送る
待つ人のない私に
そして残されて 覚える靴の重さ
))