隣人2
本田憲嵩

厳しい、
木枯らしに容赦なく吹きつけられて、
まるでうす汚れたページのように捲れあがる、
そのひとつひとつの、
とても白かった羽毛、
無残にもちぎれてしまった、
白い夢のつばさが、
その冷たくなったアスファルトのうえで、
無残にも転がり落ちている、
そこに、
ほほえみを浮かべた、
あなたが近づいてきて、
その羽毛のひとつを抜きとって、
一本の白い羽ペンをあなたはすぐさまに拵える、
やがて、
そのとてもつよい意志のインクと、
とても柔らかな筆致で、
その羽毛のページのいちまいいちまいに、
あなたはあえて、
“希望”
と、
書きしるす、
あなたは、
いつだって、
絶望の隣人、
あなた自身の名を、



※やなせたかし氏の詩、『希望』のオマージュ。



自由詩 隣人2 Copyright 本田憲嵩 2025-09-15 22:58:30
notebook Home 戻る