詩論 
月乃 猫


七億をすぎる人の 
文字への想い

親の願いを込めた
自分の名前すら書けずに
字を読むことすらできない、少女は
母からの手紙を読んでもらいました


詩はいつも文字や言葉を媒介するなら、
言葉によらない 
詩をもとめ、


文字に頼らない
詩を書きに
詩の根源をさがしにいく

それは、きっと√のよう
平方根の(+)(-)の
両極の世界へ わかれる
同類であるがために 二乗され生まれる数に
類型化される答えをさぐる


細密画の宇宙を構成する原子に似せて、
詩の構成要素を最小単位に分割する
創造の動機でも、理由でも、方法論にもよらず
詩の起源を証明していく


神話の叙事詩も 個人詩も
幾千年の人の歴史にあったその発生の存在理由は、


創世の世に
言葉によらず 伝えるべきものが存在した、
それを誰にも どうしてか表現すると
生きものたちに 涙をさそった


そこでは、
風の声で
絵をえがき
見えないもので、心をなぞり
夢の中の姿に
知らずに語りかける
荒れ地の夜空のした
星は道標るべの役をはたし
明日が怖ければ、
ともに歌をうたう
ウサギがたべられなければ、
ウサギに感謝され
種をまけば
花の喜びを知る 
そんな世界


昔より
詩は けして人間の創造物ではないはず
庭の桑の木の綴る詩を 風がきいていました
それに私は気づきもせず、


あきらめに
文字の重力に耐えきれず 卑怯にも
文字に頼る 詩を
ありがたがって
書き残す



自由詩  詩論  Copyright 月乃 猫 2025-08-17 20:57:04
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