四萬
　　それチーね。

雀卓を囲めば深夜放送から流れてくる埠頭の風

東雲の左手には北の兄貴が居座り考え込んでいる

兄貴はいつも遅くて牌をなかなか手放さない

結果的にはカモにされる役目なのだ

親を通り越せば南の妹がさらに手間がかかる

何度も何度も牌を入れては動かして

役もルールもよくしらなくて

これは人数合わせだから仕方ない

切ろうとしてはまた元に戻してる

いらいらが指にきて俺は煙草に火をつける

西対面のセイジが積まれた次の牌をこっそり裏返して見てる

　　おいおい、それはチョンボだろ！
白ポン！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　リーチ！


＊
　　　　　　　　　　　もし　　も～し、こちら宇宙から電波放送を流してま～す
聞こえますか？

　いまようやく土星を通過したところです
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土星のリングは美しかった
あれは真っ暗なディスコの中央に輝く〇筒子ミラボール
　　　　その廻りを取り囲む白いドーナツのようでした

　　　　　　　　　　　　これから天王星に向かうまでちょっと時間が空きますね～
それまで待ってて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ね～
　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　＊

　 おい！いいからはやく打てよ
　夜が明けてしまう　
痛！誰の脚だよ。炬燵布団そっちに取るなよ
　　　　　　　　ああ、冷えるアイス、冷える冷える

　　　　　　　え？　夜はとっくに空けてるわよ

　はい、それ当たり！　　　　　　　　　　　　　　　点棒が消え　　　　

　　　　　　　　　　あのね、の深夜放送からなつかしいノイズが流れてきて
　　　つもる話しもそうそうに
おせちの中身も蒲鉾だけになりました。
　　　　　　　　　　　　　　凧上げますか？　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　トランプでもやりますか。

　明日は