遠くて近い(夏の夜に)
唐草フウ

月が光ったり包むように照らす記憶のない、まだはじまったばかりの夜だった。
顔の何処かで泣かないように空に瞳を任せていた。どこを見上げてみても
わたしが知らないだけで、星はやさしく奏でていたんだった。
でもながれる記憶のなかでは、星が青いから、夏の夜空に溶けてしまっていて、
さがそうとも思えないくらいに色は静かで、
なんという感情の名前かを、誰にも伝えられなかった





誰のこともゆるしてしまおう、ゆるしてしまいたい
その過程は 目薬をさすことに似て、
涙点から鼻腔をとおって苦く喉に流れる
しばらくしたら元に戻るから、しばらくはまた忘れてしまう。
自分のしでかした失敗に気づくことも、またそんな時間差で






自由詩 遠くて近い(夏の夜に) Copyright 唐草フウ 2025-08-12 00:40:56
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