ミレニアム
紫音

切り刻まれた断片
横溢する機械仕掛けの歯車
圧縮され解体される言語
加工され廃棄される生体
ここは陽が昇る度に
碑を刻みこまれる
記憶の残滓

鮮明で鮮烈な網膜の痕跡
模糊で断続な脳髄の困惑
目も鼻も口もないのっぺらなアンドロイド
群体でありながら断絶した相関
ここは陽が落ちる度に
秘して忘却される
追憶の残響

鮮血の冷たさ
断面の愚かさ

灯光の下を歩けば
それは這うのに似て
四肢の気まぐれで
脊髄が反射する
意思という強制と
意志という妥協の
千年王国
次のミレニアムに残る
巨石の建築
このミレニアムに散る
徒花の切片

ガラスとコンクリートと
百花繚乱に
咲き乱れるサイン
恐れ敬え
闇を切り裂く光と
舞い踊れ

杜には帰れない
そこは
胸郭を砕き
臓を抉り
引き戻そうとする
拒絶反応
僅かな時間のみ許される聖域
囲われた空間に安心し
安穏として螺旋を捲け

土を踏むな
川を飲むな
造られた体には
それは刺激が強すぎる


自由詩 ミレニアム Copyright 紫音 2005-05-30 00:25:23
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