本田憲嵩

蛾蛾蛾、
長い長い年月の、
土とホコリの溜まった、
そのアルミニウムの窓枠に無数に繁殖するに至った、
その、ちいさなちいさな三角形の飛翔体、
蛾、
蛾蛾、
蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾、蛾蛾蛾蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾、蛾蛾蛾蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾、


蛾蛾蛾、
いつの頃からなのか、
その窓枠のレールの底にも無数に降り積もっている、
その汚れた肌色の死骸の、
蛾、
蛾蛾、
蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾、蛾蛾蛾蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾、蛾蛾蛾蛾蛾蛾、
蛾蛾蛾蛾蛾蛾、


我我我、
けれどもお前たちは、
人間のような悪意を持ってけっして争ったりはしなかった、
たとえどんなに醜くても――



自由詩Copyright 本田憲嵩 2025-06-07 02:41:40
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