花とレプリカ
みぎめ ひだりめ

描き写した花びらの
燃えつく因果のあざやかさ
いずれ消えゆき 死んでいく
辿り着く道は ただおなじ

わたしの燃ゆる夕焼けを
灯していった あの人の
暗い木陰で澄む 横顔は
どこかで読んだ 出会い様

決まり尽くした 台本を
見知った声で そらんじた
月が綺麗と 月並みな
言の花びら たゆたった

紡いだ日々も 培った
笑顔も 色も ただおなじ
どこかで聞いた 物語
永遠のよう 冷めずとも

知らないことなど ない ならば
わたしの小さな特別な
儚い日々を ただどうか
わたしのものに 昇華して
月の刃はかりそめの
あざやかな色 つらぬいて

あなたの瞳のまま黒さ
はじめて見つめた気がするわ


自由詩 花とレプリカ Copyright みぎめ ひだりめ 2025-05-05 23:55:20
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