迷宮 または仕組まれた幻
紫音

果てなく延びる灰色の路
どこまでも高くそびえる灰色の塔
無数の閉ざされた扉の列
漏れ出る弱々しい灯り
忙しなく動く膨大な数の体
頭上足下を駆け巡る不可視の奔流
照らし出される表層
生み出される混沌
薄っぺらな虚構
作られた現実
狭間を漂う錯乱
増殖し続ける廃墟
死に続ける営み
処理される性
処断される生
素晴らしき哉心性の軽さよ
沈みゆく神性は偽り
嗚呼永遠の始まりよ
嗚呼終焉の継続よ
それはつまり
躍動する停滞
引き伸ばされた幻
鏡が映し出す
荘厳な箱庭の宇宙


自由詩 迷宮 または仕組まれた幻 Copyright 紫音 2005-05-28 01:00:57
notebook Home 戻る  過去 未来