詩人の幸せ・不幸せ 〜詩友への手紙〜
服部 剛

親愛なる詩友へ

友よ、あなたが今心から愛するひとと出逢い、
日々幸せに包まれていることを、
僕は嬉しく思っています。

僕なりに感じることですが、
「芸術家」「詩人」は、
哀しみによって作品が生まれる
という定説もあると思いますが、
僕は人生の喜びも悲しみも
ひっくるめての詩だと感じます。
つまり、その詩人が
幸・不幸のいずれの境遇であっても、
その詩人がどのような立ち位置の次元で
目に映る景色を捉え、何を感じるかで、
そこから作品は生まれ得ると感じています。
そして、僕から見て作品に見習う点の多いあなたは、
その次元の立ち位置から詩人の視力で見抜いたものを
描ける詩人だと感じています。
ただ、著名な詩人でさえ「書けない時は書けない」と
言っていますし、詩人の言葉は
水面下に隠れた氷山のように、やがて時が来れば、
必ず浮かび上がって来るでしょう。

それは、獲物をうかがって じっ としている
跳躍前のかえるの姿勢にも重ねることができます。

親愛なる詩友よ、
書けない時は書けなくていいですよ。
幸せな季節は、心おきなく幸せを味わい、
楽しんでください。
それが、後々あなたの詩の言葉の栄養に、
必ずなるでしょう。

そして、人生の闇をじっと踏み越えて、
今、手にした幸せをその両手で大切に包んでください。

いつも目には見えない姿で
僕やあなたの傍らにそっと立ち
静かな微笑みを浮かべている
「詩」という存在と共に歩み続ける
この人生という長い道の途上で出逢う、
いくつもの幸せの詩や哀しみの詩を
大切な宝物として、ポケットにしまいながら
僕はゆっくりと歩み続けています。

詩友であるあなたの過ごす日々に、
恵みの光が降りそそがれますように、
心から祈っています。

 服部 剛 5月26日(木)11時22分 pm 

  * この手紙を、詩友の岡部淳太郎さん及び、
    僕と今まで出逢った詩友
    これから出逢う詩友に贈ります。












散文(批評随筆小説等) 詩人の幸せ・不幸せ 〜詩友への手紙〜 Copyright 服部 剛 2005-05-26 23:33:17
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