ミトン
そらの珊瑚
朝からユトリロの絵画のような
白い空が満ち満ちていました
夕刻になってようやく
この惑星に落ちてきた雨は
みぞれに変わり
ぬかるんでいくわだち
いつとはなしに雪になり
夜になってはさらなる雪、雪、
常夜灯に照らされた光のなかで
現れる雪は
どこを取っても同じ雪模様で
過去も未來も今も
心もとなく
始まったことも
終わることもないように思われて
時間という魔法から解き放たれて
やがてわたしは
おばあちゃんが編んでくれた
哀しみのない
ちいさなミトンであったことを
思い出すのでありました