板*(改訂)
ひだかたけし

この混沌の廃墟の
愛の 自由の
また肉身の
はるかにその
とおくみなもと
絶滅のあとの浜辺へ
ひらたく置かれ置く
一枚の板
寄せては引く波に
洗われ続け打ち上げられ





この混沌の廃墟の愛の自由の肉身の
終わるあとにあるもの

在るのなら 、
在らしめる 
時を引き裂く瞬間、
私とは私たちとは

攻撃する剣でも防御する盾でもなく

無数の他者へと分裂する者の
確かな口づけの跡

印された一枚の無防備な板なのだ









*石原吉郎『板』からの反響詩として(同詩は作者コメント欄に掲載)








自由詩 板*(改訂) Copyright ひだかたけし 2024-12-24 18:01:19
notebook Home